2013年3月2日土曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (5)

いよいよ送信回路です。

変調回路&マイクアンプ回路図
【キャリア発振&変調回路】
 今回の構成は、ブロックダイヤグラムにあるように、水晶発振による10.695MHzとDDSによる40MHz付近をミキシングして和の50MHzと差の28MHzを得ようとするものである。
 キャリヤ発振は当初2SK193を使用していたが、VXO範囲がなかなか取れなかったため最終的に2SK241に変更している。回路はオーソドックスなものである。
FM変調波形
FM変調は、10.695MHzの水晶発振をVXOとして、バリキャップ(1SV50)に音声信号を与えることにより得ている。今回の回路において±7.5KHz(ナローFM)を目標としたが、このためにはオーディオ信号で8VPP必要となり、マイクアンプ回路で十分スイングさせるためにかなり苦労している。結果といてそこまでスイングできていない。現状では6VPPがMAXで±3-4KHz程度でスーパーナローである。ローカル局にモニタしてもらったところ十分了解できるとの事であったので、現状良しとした。今後の課題 もう一度VXO回路を勉強。
 またデビュエーションの測定には何Hzで行うのであろうか。写真は800Hz

AM変調波形
AM変調は今回の目玉(でもないが)でTA7069Aを使用している。ヤフオクでAM変調用などと書かれて出品れていたので、思わずポチってしまった。最初データシートが見つからなかったので、古い本を調べてみたら、何のことはない単純な差動AMPであった。これをカスコード接続で上段TRのベースにAF信号を入力させればAM変調できるわけである。本来はアナログTV用のICである。回路図に内部構造を記載しておいた。3028、7045などと同等である。
このICが何でAM用と書かれていたのか分からないが、ググってみたらFT-102で使用されていた。そこで今回はこれを参考に作成してみた。
 その結果は左の写真のような感じでAM変調された。マイク入力に1KHz50mVを入力した時の波形である。変調度は、
(1-(246/300))x100=82% さらにAFレベルをあげると波形上下でサチッてしまう。キャリア入力を調整する必要がある。ローカルにモニタしてもらったところでは、これでも十分ということで、今回はこのままにしている。この辺もFMと同じく、まだ課題があるようだ。




送信ミクサー回路図
【マイクアンプ】
 マイクアンプはいつものICにお出まし願った。TA2011である。簡単なのでつい使ってしまうが、進歩が無い。このICの出力は1VRMS程度である。FM変調には8VPP程度ほしいので、2SC1815で1段増幅している。さらに出力インピーダンスを下げるためにエミッタフォローをつけている。実際に付加をつなぐと6VPP程度で歪み始めてしまう。たかがアンプでも希望特性を得るには最適化(カット&トライ)が必要である。

 マイクアンプ及び変調回路については、全体に再度最適化を計る必要がある。最初は音がひずんでいる等のモニタ結果であった。エミッタフォローもそのために追加したものだ。取り敢えずは、ローカルのモニタで大きな問題は出ていないようなので、今はこのまま進む。

ミクサー出力
【送信ミクサー】
 送信ミクサーは、既製品のダイオードバランスドミクサー(R&K M8)を使用している。ローカル入力(DDS出力)は、-6dBm程度なので、2SC2026で1段増幅しLPFを通して+10dBm程度とし、3dBmアッテネータ経由で入力している。
RF入力にはTA7069からの出力(-10dBm)を入力。
 IF出力から出てきた信号を2SC2026で軽く増幅している。この時のスペクトラムを掲載しておく。28,50MHzをトップとしてVFO(DDS)が-37dBm程度出ている。キャリヤの10.695MHzが-25dBmとなっている。その他上下にスプリアスが見えている。この信号を次段のバンドバスフィルタに出力している。


BPFOUT 51Mhz出力時スペクトラム
【送信バンドパスフィルタ】
 バンドパスフィルタ(BPF)は、28MHzと50MHz用をリレーで切り替えている。製作手間を省くために、最初はFCZコイルで製作してみた。その結果28MHzにおいては問題が無かったが、50MHzにおいて下側スプリアスが取れなかった。FCZコイルのQが低いためと思われる。致し方なくトロイダルコアでBPFを作り直している。さらに50MHzにおいては、28MHzのレベルを十分下げるため直列にトラップ(FCZコイル)を入れてアル。28MHz出力の際50MHzは上側なので十分抑圧されるため、トラップは入れていない。
 
 51Mhz出力時のBPF出力のスペクトラムをみると29Mhzで60dBm以上取れている。




パワーアンプ回路図
【パワーアンプ】
パワーアンプは、ブログ「その1」でご紹介した三菱のMOSパワーFETで構成している。ドライバーにRD00HVS1 ファイナルにRD15HVF1である。詳細実験はブログ「その1」をご覧ください。
 ただ実験では、それぞれ単体での実験であるが、今回は2段構成としている。ここで問題が発生した。ファイナル回路の入力に調整用コイルを入れていたが、50MHzではなんら問題ないが、28MHzに出力に異様なスプリアスが発生してしまう。原因は分からない。異常発振なのであろうか。そこでこのコイルをはずしたところ収まった。その為か、マッチングには多少問題があり、増幅度が多少下がってしまった。(5W→4W)


送信LPF
【ローパスフィルタ】
 パワーアンプの出力には定番の7次ローパスフィルタを入れている。データは勿論「
トロ活」である。

残るはDDSVFOとマイコン制御回路である。

続く